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RPGツクールフェス デカンの風に吹かれて ツクりました 好評につき公開終了

映画感想覚書 ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語

1978年のアニメ映画のほう。

いつソフト化されたのかはわからないけど、ロード・オブ・ザ・リングというタイトルで明らかに実写版にあやかろうとしてるのがわかります。

 

 

いきなり話ずれますが、このロード・オブ・ザ・リングというタイトルは個人的には全く気に入っておらず、発音したくないです。

なぜ実写版公開のときに何十年も前からある指輪物語にしなかったのか。

そうでなくても原題通りなら別に文句のつけようもなかったのだけど、中途半端に改題してカタカナにしているので質が悪い。

映画で初めて知った人がロード・オブ・ザ・リングと聞いたら映画の内容からいって、リングとは当然一つの指輪のこと、ロードはそれを破壊しに行く道程みたいに思うでしょ。指輪の道だと思っちゃうでしょ。

実際はroadではなくlord、さらに重要なのがringではなくringsということで、指輪どもの王みたいな意味なのですね。

ringsは特に重要だと思う。

一つの指輪はすべてを捕らえて、くらやみのなかにつなぎとめる、とあります。

この一つの指輪に捕らえられるものというのが、ほかの19個の力の指輪でしょう。

ならばringsとは当然その力の指輪のことであり、一つの指輪はむしろlordのほうに近いことになります。

こんなわけで、だいたいいつも邦題付けるノリでやっつけたんだろうけど結果的に間違ったタイトルになっちゃったんですね。

今更どうしようもないけど。

 

 

話戻りまして、アニメ映画のほうなんだけど、これはロトスコープという技法で作られた作品です。

人間の動きを撮影したものをトレースしてアニメーションにするものです。

結果的にモーションキャプチャと似たようなものができます。

非常に動きはなめらかで、無駄な動きみたいなのが多いのも特徴です。

グイン・サーガのアニメのときに馬の動きが描ける人が少ないって話があったけど、この手法なら当然動物の動きも自然に再現できます。

ただこの映画の場合、全編に渡って奇怪な感じが出ちゃってます。

 

まず主要登場人物は全員キャラクターとしてデザインがされ、アニメの普通のキャラクターが滑らかに動く感じです。

所謂モブキャラになると、例えば宿屋の客たちとか、ローハンの騎士とかはキャラクター化されてないようで、顔もトレースされたようなほぼ人間のまま画面に登場します。このため主要キャラとモブキャラが同時に登場すると、実写とアニメが同時に画面にいるような違和感があります。

主要キャラとモブキャラとでは明らかに陰影の表現が異なっており、主要キャラはそんなに影がついてないのに、モブキャラは不必要に写実的に影がついてます。

オーク鬼たちなんかを見て思うのは、もはやロトスコープというより実写の人物を加工してアニメみたいにしてるだけなんじゃないかと。

実際ロトスコープという技法をどの程度徹底して採用してるのかよくわからないです。

とにかく動くのは動きます。

ただ、もうほぼ実写なんじゃないかって場面も時々あります。

冒頭の指輪のあらましの場面のシルエットの人物は多分アニメとしてトレースされてない本当に人の影だと思うんだけどどうかな。

夜空に月と流れる雲が映る場面なんかも実写じゃないのかな。

ちゃんと全部描いてるなら申し訳ないけど。

 

 

フロドは可愛くなってるんだけど、基本的に登場人物は一様に不細工です。

実写版では超絶イケメンだったレゴラスは、頭にパンストを被って上から引っ張った感じの顔です。

ドワーフみたいなのがボロミールで、ドワーフギムリです。

エルロンドはTシャツを着てるようにしか見えない。

 

しかし惜しいのは未完ってこと。

2時間ちょっとあるので、もしかしたら今回はラストまで行けるんじゃないの? って思ってみたりするんだけど、何度見ても途中で終わります。

でぶちゃんって、原作で読んだ時には五人目のホビットの仲間くらいに思ってたのに、実写版でもこのアニメ版でも存在を消されてる。

でぶちゃんも削るし、いろいろ端折ってテンポを上げて、実写版と違って雄大ニュージーランドの風景を映さなくていいから移動も早いんだけど、それで2時間でやっと半分だから。

指輪物語の結末って指輪を破棄してサウロンの復活を阻止して終わるけど、もし今同じようなストーリーを作ると、サウロンは一度復活して、そのあとみんなで力を合わせて倒すみたいなことに絶対になるよね。

ちゃんとフロドの苦難の旅が成就してくれるところがいいんだよね。

映画だけ見た人からは、フロドの影が薄いとか主役が誰だかわからないとか聞いたことがあるけど、原作を読んでいるときは紛れもなくフロドが主役で、その旅こそが物語の中心だった。

だからこそ、このアニメではそこが描き切れてないのが惜しい。

 

というわけで、ストーリーは言うまでもないですが、見た目がシュールアニメといった感じなので人は選ぶ作品かもしれないです。私は好きです。

よく動くし話もテンポいいし、ビジュアルが奇抜なんで退屈はしないと思う。

とにかく途中までなのが残念だけど、完結までいくと4時間くらいになりそうだから、そうなると気軽に見る気にはなれなくなりそうで、これはこれでいいのかななんて。