TMGP覚書ブログ

RPGツクールフェス デカンの風に吹かれて ツクりました 好評につき公開終了

映画感想覚書 THE BATMAN-ザ・バットマン-

コロナの影響でアメコミ映画の公開スケジュールも渋滞気味になり、DC映画だけでも今年何本もあるわけですが、その中でも最大の注目作はなんといってもザ・バットマンであるでしょう。

 

まず最初に書いておきたいのが、いつも行ってる映画館が前回映画見てからこのザ・バットマンを見に行くまでにいつの間にか一般1900円に値上がりしてたことです。

日本の映画料金は世界一高いって言われてるのにまだ上がるんですね。

 

 

ザ・バットマンは約3時間という長い映画です。

3時間という長さは限界の長さだという人も多いんじゃないだろうか。

最近ディズニーが配信シフトして、映画館から猛反発を受けたりでほかの映画会社は劇場オンリーを強調する、というのも見慣れてきたとこですが、これ以上長いならむしろ家で配信で見るほうが楽ってことになっちゃいますよね。

映画館にしても長い映画だと回転率が下がっておいしくないだろうしな。

 

 

 

バットマンといえば魅力的なヴィランたちというのもあり、多くのバットマン映画では派手な悪役のほうに注目が集まることがありましたが、この映画ではバットマン=ブルースウェインを完全に中心に置いてバットマンが事件を追う探偵としての姿を描いています。

また、捜査においてゴードンとの協力関係も良く描かれています。

 

ちなみにバットマンの別名のひとつに世界最高の探偵というものがあり、バットマンの最初の掲載誌はディテクティブ・コミックス誌(ディテクティブ=探偵)。

そしてDCコミックスのDCはDetective Comicsのことです。

 

 

探偵ものの内容であると同時に、まだ2年しか活動していない駆け出しのバットマンが事件を通じてひとつ次の段階に成長するという物語でもあります。

 

今作の敵役となるリドラーは、ほかのヴィランがメインを張る横で一発殴られて退場するような役から、すべてを陰から操る黒幕という役割もこなせる面白いキャラです。

 

 

ではここからネタバレしながら書いてみる。

 

 

 

 

3時間なんかあっという間だった。

 

まず、経験2年のギラギラしたころのバットマン。影を自称しています。

ゴッサムの犯罪者たちの恐怖心に付けいるのがバットマンのやりかたで、犯罪者たちは夜空のバットシグナルを見ると暗闇の中にバットマンがいるような気になってしまう。

そして映画を見てるこっちもバットマンがいるような気になった。

この映画、画面の8割くらい黒だったんじゃないかっていうくらいの黒さ。

主役も黒だしヒロインも黒だし夜だし。

でも暗くて見づらいということは無かったです。

暗い画面でライトだけこっち向いててまぶしい場面は何度かありました。

 

 

バットマンのオリジンに関しては映画内では軽く触れるだけなので、そこは基礎知識として抑えといてください。

そして警察のゴードンとの協力関係も既にできているので、それは納得してください。

 

 

ゴードンとは協力体制をとるけどアルフレッドには冷たいという微妙な時期のバットマン

 

 

バットマンは音も無く現れて音も無く消えるイメージがあるけど、この映画では印象的に登場したいときはドタンドタン足音を出しながら暗がりから現れます。

 

 

スーツの防御力は非常に高く、至近距離からの発砲や爆発も防ぐ。

そのためか今作でのファイトスタイルは相手の攻撃をさばいたり避けたりはあまりせず、攻撃をくらいながら距離を詰めてそれ以上の反撃で倒していく感じ。

そして「アイムベンジェンス(俺は復讐)」の決め台詞。

戦い方にもやばいやつの感じが出てます。

 

マスクを脱いだあとに目元の黒いメイクを落としてない状態のブルースが、またいかにも病んでそうな、そしてどことなくぺこぱの松陰寺みたいな感じ。

 

この時点でバットマンの世間一般での知名度はそれほど無いみたいだけど、犯罪社会ではミスターベンジェンスみたいな知られ方をしている。

 

 

 

謎の怪人リドラーによる連続殺人事件を追うバットマン

リドラーは犯行現場にバットマンへのメッセージも残しているんだけど、頑張って謎を解くとリドラーの仕掛けが発動しちゃったりもする。

ストーリーが進むと、実はリドラーバットマンによる謎解きも犯行計画に組み込んでいることがわかる。

 

 

現代的な描写として、リドラーSNSを利用した劇場型犯罪を行っていく。

普通は現場に痕跡を残したり情報を出せば出すほど捕まりやすくなるものだが、リドラーの知能を持ってすればそんな心配はないのだ。

ほかに現代的なのが、バットマンのグローブはスマホ対応。

 

 

 

現職市長、警察本部長、地方検事と名士たちが次々リドラーの犯行の犠牲になる。

ただ殺すだけではなく、彼らの闇の悪行も暴いて死者に鞭打つリドラー

現代の必殺仕事人とでもいうか。

これに関してバットマンは常に後手に回ってしまう。

 

 

捜査の途中で見かけたセリーナの部屋を覗くブルース。

セリーナはブルースに覗かれながら部屋で着替えてそのまま闇の出勤。

やっぱりコスチュームに着替えるときは秘密基地でなきゃねって思った。

でもブルースもスーツ持ち歩いて外で着替えてるけど。

セリーナは格闘に長けて金庫破りもできるけど、怪盗キャットウーマンとか名乗ってるわけではない。顔の隠し方も甘い。

 

 

バットマンはグラップルガンとマントで自由に空中を移動するのが普通みたいなところがあったけど、今作ではより現実的なムササビスーツを使って不器用に飛んで落ちる。

まだ空中移動には不慣れなところが垣間見える。

 

 

バットモービルジェットエンジンみたいなのを積んでて、案の定小回りはきかない。

ペンギンとのカーチェイスのラストで爆発を切り抜けられたのは、目の前に奇跡のジャンプ台が急に出現したおかげ。

 

 

 

リドラーはブルースウェインを新たな標的とし、更にその亡き父トーマスの闇にも迫る。

ブルース宛ての爆発する親展を開けたばっかりに身代わりとなり一時意識不明となるアルフレッド。

ブルースを殺し損ねたリドラーは、トーマスウェインが自らのスキャンダルを報じようとした記者を犯罪界の大物ファルコーネを頼って殺させたとリーク。

ブルースは事の次第を確かめようとファルコーネの元を訪れ、ファルコーネの語るストーリーに丸め込まれる。

ファルコーネの話には破綻は無かったので、そういうこともあるかなって思っちゃったけど、その場にいない人を悪者にしてるだけとも言える。

ブルースはその事で意識が戻ったアルフレッドを問い詰めるのだけど、今目覚めたばっかりでベッドにつながれてる人に切り出すには超ヘビーな話題じゃない? って思った。

父が善人であるか疑いかけてたブルースだったけど、事件の真相は不明なままとはいえアルフレッドと話すことで希望を持ちなおすことができてよかった。

今作の感動的な場面のひとつ。

 

 

 

バットマンヴィランたちの中には自分の頭脳によってバットマン=ブルースウェインに辿り着く者もわずかにいます。

一方知能犯を自称するリドラーは意外にバットマンの正体を見抜けないやつだったりします。

 

この映画の中のリドラーは、バットマンの正体をわかってるのかなって描写もあるんだけど、やっぱりわかってないんだと思います。

バットマンの目の前でブルースの名を何度も口にするから、こいつ知ってるのかって思いそうになるけどリドラー自身がブルースに対して子供のころから執着してただけだということで説明できるし、バットマンに対してお前はブルースウェインだとズバリ言うこともないし、計画の最後までバットマンと絡む気満々なのに途中でブルースウェインを殺そうとしてるし、バットマンの正体を見抜けてないと考えなければむしろ筋が通らない。

もうひとつ補強すると、リドラーは各犯行現場にバットマンを名指ししたメッセージを残していて、それをバットマンが謎解きするとリドラーの計画が進むという形でバットマンを駒のように操ろうとしていました。

で、ブルースウェインへ送りつけた爆弾にもちゃんとバットマン宛てのメッセージが同封されてたので、リドラーとしてはブルースウェイン爆殺現場でバットマンに新たな謎を解かせようとしていたことになります。

リドラーはブルースウェインがバットマンその人だとは思ってもいなかったということだと思いますね。

 

予告映像ではいかにもリドラーバットマン=ブルースウェインだと見抜いて話してるかのように編集してあったので、そこから観客へのミスリードしてたのかもしれない。

 

 

 

リドラーゴッサムの孤児出身者。

トーマスウェインはゴッサム再開発の基金を創設し、その計画が成就すれば孤児たちの生活ももっと改善されるはずだった。

しかしトーマスは死に莫大な慈善基金だけが残され、その基金ゴッサムの権力者たちが好き放題食い荒らしていたというのだ。

職業上得た情報でその秘密を知ったリドラーは 嘘つきの権力者たちへの復讐を計画。

一方ブルースウェインに対しては、ブルースが両親を一度に失い孤児となり世間の注目と同情を集めているのを見せつけられながら、自分だって孤児なのに世の中から忘れ去られているという不満から逆恨み。

 

世間の注目の偏りというのを感じることは実際の生活の中でもあります。

例えば現在ウクライナへのロシア侵攻問題が日本でも大きく取り扱われていますが、平和で真っ白な世界に突如ウクライナ、ロシアの戦争が黒い染みのように現れたわけではなく、世界には現在進行形の紛争地帯がいくつもあったわけです。

でも日本のメディアも企業もそういったものに関心を寄せたことはないのに、なぜウクライナだけこれほど大きく取り上げる気になったのかというのは疑問として持っていました。

ウクライナ以外で戦災にあっている人たちが、リドラーと同じ不満を持たないとは言い切れないかもしれないですね。

 

 

 

リドラーは計画的に警察に逮捕されてしまったので、やらかしまくったのにバットマンは一発もリドラーを殴ることができなかった。

 

リドラーは逮捕されたもののその邪悪なフォロワーによってゴッサムは大洪水に見舞われる。

リドラーによってゴッサムが水没する展開はコミックスのゼロイヤーでも読みました。

あの時のリドラーも強敵だった。

 

ゴッサムの下町ならまだしも、NYのような高層ビルの立ち並ぶ場所で洪水が起きたならイベント会場に避難せずに近くのビルに上ったほうがいいだろゴッサム市民って思った。

そしてそのイベント会場に集まった人たちを高いところから狙撃しようとするリドラーのフォロワーたち。

バットマンはここでも後手に回っていたため、最後の舞台で遅れてくるヒーローのかっこいい登場を披露。

相変わらず銃を持つ相手を正面から殴りに行くようなスタイルで戦うせいで絶体絶命に陥るバットマン。まだ未熟感があります。

そこをセリーナに救われるも、終わった…… 終わった…… とか言い出すから終わってないんじゃない? って思ってたらやっぱり終わってなくてまたピンチに。

 

 

最後のフォロワーを倒して何者なのか尋ねたら、そいつが「アイムベンジェンス」と発言。それバットマンのやつじゃん……

復讐の行きつく先を目の当たりにしたバットマンがついに復讐から脱却。

 

そのあとバットマンが最初に行うのが人命救助。

急に水に飛び込んでどうするのかと思ったら人力で救助開始。

片手に発炎筒をもったまま片手で救助しようとしてるから、助けた誰かに発炎筒を持たせて両手使えば? って思ったんだけど、その後に暗闇の中で光を掲げたバットマンが人々を導くシーンに続いたので、その意見は取り下げます。

俺が影だ、から始まって最後は光になるという印象的な場面です。

でもこの場面見て、アクアマンがトレンチの集団に追いかけられてる場面を思い出した。

 

 

謎の覆面の男が被災者を救助するというのが報道され、バットマンもついにメジャーデビュー。

復讐者からヒーローへ変わるまでというストーリーでした。

 

 

 

ゴッサムはテロによって水没。戒厳令が敷かれます。

さらに主な権力者たちは汚職が発覚し体制は崩壊ぎみ、裏社会の大物ファルコーネも暗殺され多くの権力の座が空位となる。

 

ザ・バットマンのラストは単なる大団円ではなく、これからゴッサムで多くの血が流れる権力闘争が始まることを示唆したものでした。

ここからノーマンズランド開幕とでもいった感じですか。

 

 

ただ、復讐を乗り越えたブルースには爽やかな希望を見ることができました。

 

 

 

ということで、長くなりましたが映画も長いのでいいでしょう。

ヒーローチーム全員終結の総決戦とかでなく、ただバットマンだけで3時間いけるというのがすごいですね。

でもやっぱり3時間は長丁場なので、観る前にたっぷり水分補給をしてから臨みましょう(罠)。