2014年から始まったモンスターバースシリーズの第3作。
原題は、Godzilla: King of the Monsters。
定冠詞は抜かれたけど、モンスターズは複数形を維持したまま。
映画ダンジョンズ&ドラゴンズの邦題、ダンジョン&ドラゴンみたいにされなくてよかった。
でも定冠詞のTHEは意地でも抜くんだよな。~オブ・ザ・デッドのときは抜かないのに。「オブ・ザ・デッド」で終わる作品の一覧 - Wikipedia
ゴジラシリーズは、実はほとんどが1作目とつながりを持っている。
昭和シリーズは直接の続編シリーズなので言うまでもなく、平成vsシリーズ以降も1作目を踏まえて、それ以降の昭和シリーズは無かったことにしてという感じで、1954年にゴジラが現れたという設定は多少形を変えつつ引き継いでいる。
なので、一部の例外を除きほとんどのゴジラ作品はゴジラという存在がある程度世の中に認知された状態で始まる。
ハリウッド系のゴジラは、この例外のほうだけど、すでに続編なので2014年にゴジラが現れた世界の話である。というわけでゴジラシリーズについて軽く触れた。
いきなり話それるけど、映画館でアラジンの実写版の吹き替え予告が流れてて、山寺宏一の吹き替えの青スミスが「ショウターイム!」って言うのですよ。
で、あれ? って思ったんだけど、なにが自分の中で引っ掛かったのかと考えたら、映画「マスク」の吹き替えで緑が「ショウターイム」って言ってたのと同じ感じだったんだと思う。それだけなんですけどね。
事前にいろいろ評判は目にしていて、怪獣バトルばかりで人間のドラマが少ないとか批判されてましたね。
130分のうち100分くらい怪獣バトルでもよかったけど、思いのほか人間のパート多かったですよ。普通の怪獣映画の配分じゃね?
初めて見たゴジラが「ゴジラvsビオランテ」でして、そのときにゴジラ映画って想像してたより人間出てきてゴジラ意外に出てこないんだなって思ったんだけど、その後vsビオランテのほうが異色作のたぐいだと知った。
今作を見るにあたっては、ハリウッド規模で怪獣映画をやるなら、ド派手に怪獣全振りでやってもらいたいと期待してました。概ね期待通りでした。
基本的に映画館で寝たりすることは全くないです。というか電車とかでも公共の場所では寝ないです。むしろ信じられない。
多少の緊張感を持って挑んでますからね。
しかし2014年版のゴジラだけは、この私の意識を映画館で失わせた映画でした。
キアヌリーブス主演の「地球が静止する日」ですら余裕で耐えた剛の者であるこの私がですよ?
別につまらなかったわけじゃないんだけど、ハワイ辺りの記憶が飛んでたんですよね。
さて、新作のゴジラには耐えられたのか…。
それではネタバレしつつ映画について書きます。
話が始まると、秘密組織モナークが世界中に怪獣を確保していることがわかる。
なんと17体。
後で一瞬だけ出るけど、富士山にも怪獣を隔離してたみたいです。
ちなみに、モンスターバースではムートーという呼び名を怪獣の意味で用いていたけれど、今作からタイタンに改めたようです。
モナークの怪獣隔離施設が環境テロリストに襲撃されて、怪獣をコントロールできる機械オルカとその研究者エマと娘がさらわれる。
山深い奥地で、こんなロケーションなら怪獣がいても大丈夫かなってなる。
中国の山奥にはダイノボットたちを放し飼いにするキャパシティもあるし。
2014年版でも、ネバダの砂漠あたりでゴジラとムートーが戦ってたとき、砂漠なら怪獣がいてもよさそうだなって気になった。
2014年版の時点で、人間の味方かどうかはともかく、積極的に敵対はしてこない印象だったゴジラ。
この5年の間も人間を攻撃したりもせず潜伏していたようです。
そして今作では、もはや完全に人間の味方です。映画の主役たちもゴジラを人類の味方だと認識してます。
昭和ゴジラはほとんど見てないですが、後半はゴジラが人間の味方として描かれていたようなので、そっちのノリですね。
実は予告からそんな感じなんじゃないかと予想してました。
環境テロリストというかエマは、人類を地球環境の病原体とみなして、怪獣を使って文明を破壊し、自然との調和の取れた世界に作り替えるみたいなことを言ってた。
明言してなかったけど、それって結局大量虐殺するってことだよね。人間の間引きもしないと、人口据え置きで文明だけ破壊なんてやっても、今ですら足りない食料が賄えるわけなく、食料をめぐる闘争と、飢え死にの時代が来るだけでしょう。
だから娘は人が避難してから怪獣を解き放つように言ってたけど、テロリストやエマは最初から人間を大量に殺すつもりだったんだよ。
そんなこんなで氷漬けから復活させられたギドラだけど、今作では大活躍です。
かなりゴジラを追い詰めた。いいところまで行った。
人間がチョロチョロしなかったら今度こそゴジラに勝ってたかも。
ときには
ゴジラ対ギドラの二回戦は、新兵器オキシジェンデストロイヤーが撃ちこまれて中断。
1954年版1作目のゴジラでは、ゴジラを骨まで分解しつくしたオキシジェンデストロイヤー。1作目でちゃんと殺し過ぎたため、ゴジラの続編制作にあたり、別個体のゴジラを登場させる必要が出たという超兵器。
今作ではゴジラを骨まで分解するどころか魚が浮いてくる程度。
この時の戦いでギドラが早くも首を一本食いちぎられて、もうもがれてるって思ったんだけど、その後オキシジェンデストロイヤーを逃れたギドラは自然の法則に反する能力を発揮。そして怪獣の王戴冠、最強感出てました。
ゴジラも死んだと思われてたけど当然ながら実は生きてて、結局魚しか殺せないオキシジェンデストロイヤーだった。
弱ったゴジラを復活させる作戦が、核爆弾を使ってゴジラにパワーを与えるというもの。
この魔法の核爆弾で解決展開、B級映画で100回見たやつだったけど、もともとゴジラは核兵器と関係が深いので今回は許した。
この新作ゴジラは、制作費2億ドルらしいのでB級どころか大作ですよ。
そしていざゴジラに核爆弾を使おうとしたところ、壊れて発射できないと、でも手動なら起爆できるという、B級映画で1000回見た都合のいい壊れ方。
もうお約束キターって感じになっちゃって、本当だったら芹沢博士が命を懸けて起爆する尊い自己犠牲の感動的な場面かもしれないけれど、ニヤニヤしながら見ちゃった。
生き残ったみんなは、その後も死んだ芹沢博士のことを口にしてて、今作の渡辺謙はおいしい役どころでした。名探偵ピカチュウでのいてもいなくてもどっちでもいい役とは大違い。
このキングオブモンスターズという映画はかなり頭悪くて、海底に古代文明の謎遺跡あるし、ギドラは宇宙から来たとかゴジラが人類の味方とか、登場人物の見せる反応とか結構リアル寄りであることや大人向けの考証とか捨てて、古い怪獣映画のノリを取り入れてあるように見えました。
モスラの歌のアレンジが流れてくる美しい場面はちょっと感動的だった。
最終的には怪獣だらけで、これ人類滅びるんじゃないのって思ったけど、ゴジラの統率で怪獣は大人しくなるらしい。
それどころかエンディングでは、ゴジラの通った後に生命が増えたとか砂漠に植物が繁殖し始めたとか次々出てきて、もうゴジラのおかげで宝くじが当たったとか、ゴジラのおかげでモテモテです、背も伸びましたみたいなノリになっててなんじゃこりゃ感。
結局適当に文明が破壊されて、怪獣は大人しくなってで環境テロリストの都合のいいようになっちゃったようでもある。
エンドロール後も映像があって、次のゴジラの対戦相手のコング関連かなって思ってたんだけどそうではなく、作中での活躍にも関わらずその顛末が描かれていなかった人物が登場して、そっちかーってなりました。
次はゴジラ対コングらしいんだけど、現状どっちも人間の味方なのね。
なぜ戦うのか、もしゴジラが倒れたらまた怪獣が暴れだすとかいうのなら、それを狙った人間が出てくるとかね。
ただ、今のところあの髑髏島のコングを担ぎ出してもゴジラに勝てる気がしないけどな。
とりあえず満足しました。
怪獣バトル分補充にはこれ以上ない映画。
ギドラが光線を上下に吐きながら飛ぶ、という印象的な動きをやってくれなかったのは残念。
これで今年の予定もほぼ終わった。