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アニメ感想覚書 バットマン ハッシュ

本作はワーナーによるDCコミックの長編アニメ化作品で、この手のアニメが結構な数作られてます。

 

 

原作に当たるバットマン ハッシュは邦訳版を既読です。

アメコミでは数話単位で展開するリミテッドシリーズや一話読み切りのワンショットなどありますが、このハッシュというのは、オンゴーイングと呼ばれるキャラクターごとのストーリーを長期的に描くメインシリーズの一部になります。

バットマンのストーリー内のハッシュ編といったところです。

なので、ハッシュの前にもストーリーはあり、ハッシュの後にもまたストーリーは続いていきます。

でもアニメのほうは、そんなこと気にしなくても大丈夫です。単体で完結した作品として見られます。

コミックのほうも実はわりと単体で見て大丈夫です。実際私が大丈夫でした。

 

 

ストーリーは子供の誘拐事件から始まり、バットマンはお馴染みの悪役たちの陰に暗躍する謎の存在ハッシュへと迫ります。

 

 

 

ダークナイトリターンズのときもそうだったけど、アニメ化される際の傾向として原作にはたくさんあったバットマンの独白が無くなり、代わりにアクションが強化されて描かれています。

 

 

序盤から中盤にかけては配置されるキャラクターが若干変更されているものの、例えばキラークロックがベインになってるとか、でも多少の違いはあって当然かと思って見ました。

この話の中でもバットマン対スーパーマンの対決があるのでそれも見所です。

 

 

原作では、バットマンことブルースウェインの少年期の回想が随所に入ってくるのですが、アニメ版ではさっぱり無くなってます。

 

アニメの絵柄は原作を手掛けたジムリーのものに寄せてあるのは認めます。

ダークナイトリターンズがパッケージ詐欺レベルで違う絵だったのに対して、原作ハッシュではジムリーのアートも大事な売りだったのでアニメ版も意識して制作してあるのだと思います。

 

 

 

 

後半はバットマンキャットウーマンのイチャイチャしながらのバトルシーンや、原作になかった組み合わせでのアクションシーンが描かれ、最終盤ではキャットウーマンを救うために、バットマンはついに正体を現したハッシュと対決します。

 

……

原作を読んでから結構時間が経ってるんだけど、流石にこの辺まで来ると、あれ? これ話違わね? と気付いてきました。

 

 

このアニメ版では原作には存在した、リーグ・オブ・アサシンズやオラクル関連の話は殆ど無くなっています。

そして単品で完結させるために説明が面倒だからか、ジェイソンロビンの件も全部カットです。

アニメは80分くらいと、そんなに長くはないのでどうしてもエピソードを削る必要はあります。それはわかる。

 

 

 

でも原作を読んだ人には信じられないことだろうけど、重要な登場人物だったトーマスエリオットの役割が変更されています。

彼は少年時代から歪んだ思考の持ち主だったけど、それを秘めたままブルースとは親友として付き合っていました。

その少年時代のブルースとトーマスの回想シーンが、原作には全編に渡って挿入されるのだけど、アニメ版ではトーマスはやけに悪役顔のブルースの幼馴染、以上の設定は無いので2人の回想シーンは全カットです。

トーマスの辿る運命も原作とは大きく違います。

 

そして顔に包帯を巻いた怪人ハッシュの正体も変更されてます(ただし原作で顔に包帯を巻いて暗躍していたのは複数人いる)。

パッケージには、数あるバットマンストーリーの中でも傑作の1つに数えられる作品、と紹介されているんだけど、もはや同じ話とは思えない改変ぶり。

なぜ原作が名作だと紹介しながら、原作の通りに作らないのか。

 

トーマスエリオットとブルースウェインの関係性を描くのをやめて、代わりにブルースとセリーナのロマンスに時間を割き、最後はアクション全振りで解決して見せるという展開。

 

 

まあ原作に思い入れが特にないなら、いろんな敵が次々出てきて、バットマンキャットウーマンが共闘する話とだけ思って見れば大丈夫です。

アニメーションの出来も悪くないです。

 

原作のあるストーリーを映像化するときには、どれくらいの変更が許されるかっていう問題は常にあります。

例えばこのハッシュは、300ページあるのでとてもじゃないけど80分で完全再現はできません。

それは最初から分かっているといえばそうなんですが、だからといって全く別の展開にするというのは、ある意味すごいなと思いました。

 

 

同じ題材で2度楽しめるという見方もできます。

実際にコミックなんかでも形を変えて繰り返し描かれる題材はあったりするし。

 

コミックの邦訳版よりもブルーレイのほうが安いし、80分という時間で気軽に見られるとあれば、アニメ版のほうがお手軽感はある。

そしてハッシュの前後のストーリーとの連続性も意図的にか排除されてるので、とりあえずどれか一個だけ見たいというような人の入り口には丁度いいかもしれない。

 

ただ上述のようにストーリーが変わってるので、コミックだけを読んだ人とアニメだけを見た人とでは、同じハッシュの話をしてても通じないこともあるでしょう。

 

 

 

 

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